一 会社の選択

1 就職面接の回数と転勤意識

 日本、中国ともいま、厳しい就職難の時代と言われている。就職活動において、多くの企業の面接を受けなければならないことが予想できる。2003年の調査では、就職の面接は「1回」だったという日本の新社会人が2割弱にすぎなかった。「3回」という者が最も多く、3割近くとなり、「5回以上」という者が2割にも達している。これに対して、中国では「1回」が最も多かった。就職の面接を受けた回数は日本より中国のほうが少ないことがわかる(図1−1参照)。

 また、この会社でずっと働きたいかと尋ねてみたところ、図12のように、日本の新入社員には「定年まで働きたい」という者が僅か1割しかいなかった。5割近くは「状況次第で変わる」と考え、一つの会社に終身的に勤続するという伝統的な仕事観が揺れていることが伺える。就職面接の回数との関連を見てみると、表11のように、就職の面接が1回だけだったという者はずっといまの会社で働きたい気持ちが最も強いようである。

1−1 就職面接の回数×転勤意識

 

この会社でずっと働きたいか

定年まで働きたい

とりあえず、この会社で働く

状況次第で 変わる

わからない

無回答

就職面接の回数

1回

12.8

31.1

31.5

11.4

13.2

2回

8.4

17.3

54.9

7.5

11.9

3回

9.7

29.0

47.4

6.2

7.8

4回

8.2

28.2

44.5

6.4

12.7

5回

9.3

27.8

45.8

7.5

9.7

 

 会社を選んだとき、誰の影響が最も強かったかを見てみると、表12に示しているように、日本の新入社員の5分の4は自分の意思で就職先を決めたという。中国も「自分の意思」という者が大多数だが、「親」の意見に従った者が2割近くに達し、日本よりだいぶ多かった。

1−2 この会社を選んだのは誰の影響が最も強かったか

 

日本(2003)

中国(2002)

1. 自分の意思  

75.0

66.2

2. 親やきょうだい

 3.0

16.4

3. 親戚や知人

 1.3

 6.3

4. 学校の先生

 8.4

 4.8

5. 友人

 1.5

 2.9

6. 会社の人   

 5.8

 -

7. その他

 4.3

 0.8

無回答

 0.5

 2.6

会社を選ぶ理由

 新入社員たちはどういう基準で就職先を選んだのかを見てみよう。図13のように、日本では「仕事が面白そうだから」「自分の能力・個性が生かせるから」「技術が覚えられるから」はベストスリーだった。これに対して、中国では「自分の能力・個性が生かせるから」と「会社の将来性を考えて」という2項目を選んだ者が断然多かった。両国で比較してみると、能力と個性の発揮が両国の新社会人たちに認められる共通点である。そのほかに、日本の新入社員は仕事の面白さ、技術を重視し、中国の新社会人は会社の将来性と給料を重視する傾向がある。





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