二 働く目的・態度

1 働く目的

 まず、「職場で希望する仕事につけなかったらどうしますか」と尋ねてみた。両国の新入社員とも「どんな仕事でも積極的に挑戦する」というのが多数派である。しかし、中国では「仕事を変えてもらう」「やめて新しい仕事を探す」という者が25%強もいる。それだけ専門志向があるといえる。中国は職場の人間関係より仕事そのものが重視されているようだ(表2-1)。

2−1 職場で希望する仕事につけなかったらどうしますか?

 

日本(2003)

中国(2002)

1. どんな仕事でも積極的に挑戦する

49.2

40.3

2. とりあえず我慢して、その仕事につく

40.7

27.4

3. 仕事を変えてもらうように働きかける

 6.1

15.1

4. やめて、新しい会社を探す

 0.8

11.5

5. わからない

 2.2

 3.1

無回答

 1.0

 2.7

2−2 働く目的(MA)

 

日本(2003)

中国(2002)

1. 経済的にゆたかな生活を送りたいため

62.5

30.0

2. 社会的に偉くなりたいため

 6.7

21.9

3. 楽しい生活をしたいため

58.7

49.7

4. 自分の能力をためす生き方をしたいため

52.7

48.7

5. 会社の発展のために尽くしたいため

 4.7

 9.2

6. 社会のために役に立ちたいため

22.6

14.0

7. 自分なりの生き方で生きたいため

53.5

42.6

8. その日その日をのんびりに過ごしたいため

 2.7

 2.7

9. その他

 6.1

 1.3


 次は働く目的を見てみる。表2−2のように、日本では経済的目的が最も多かった。その次に「楽しさ」「自分の能力」「自分なりの生き方」を追求しようとする。中国では経済的目的より「楽しさ」「自分の能力」「自分なりの生き方」を強く求めようとする。また「偉くなりたい」という出世志向も日本よりだいぶ強い。

 また、両国とも「社会貢献」志向が少数派である。

 さらに、新入社員たちはどのようなサラリーマンになりたいかを見てみる。表2−3のように、中国は「会社の中心になって、バリバリ仕事をするタイプ」が圧倒的に多く、日本の8.1%の少数派とは好対照である。日本は「みんなに親しまれる」「技術や実務を身に付ける」「仕事に忠実」などに分散し、誰でも納得する共通の理念や目標がなく、それぞれ個人の好みが現されている。

2−3 どのようなタイプのサラリーマンになりたいと思いますか?

 

日本(2003)

中国(2002)

1. 会社の中心となって、バリバリ仕事をするタイプ

 8.1

42.1

2. 技術や実務を身に付けるタイプ

21.9

 9.2

3. 仕事に忠実で責任感の強いタイプ

20.1

25.4

4. 広い教養をもって職場を明るくするタイプ

16.5

 6.3

5. みんなに親しまれるタイプ

24.0

 8.3

6. 仕事はそこそこにして私生活を充分楽しむタイプ

 5.8

 4.0

無回答

 3.6

 4.7


2 成功の要因とやる気

 「社会に出て成功するのに最も重要なのは何だと思いますか」と尋ねてみたら、中国で多いのが「個人の能力」であり、日本は「個人の努力」となった。この相違の根っ子にあるのは両国の生活哲学が「努力」と「能力」の評価が異なるからであろう。もう一つ日本では「人間関係」の選択率も多い。皆んな力を合わせて頑張ることが日本文化であることを示している。また、中国には「運やチャンス」を信じる者が日本より多い(図21)。

 次はやる気についてみてみる。やる気は他人からの評価と自分自身の成長や面白さの2つの側面からなっている。表2−4のように、褒めることが一つのカギを握っていること、興味を起こさせる仕事を与えることが重要といえる。

表2−4 やる気(日本2003年)

 

当てはまる

まあ当て はまる

あまり当てはまらない

全く当て  はまらない

無回答

1.給料が高いとき

54.3

38.9

5.8

0.6

0.4

2.上司に評価されたとき

75.5

22.4

1.5

0.3

0.4

3.同僚に評価されたとき

64.5

30.2

4.3

0.6

0.4

4.自分に決定権があるとき

32.3

43.9

21.6

1.8

0.4

5.創造力を求められる仕事をするとき

32.7

42.4

21.4

2.8

0.7

6.仕事が面白いとき

84.4

14.1

0.9

0.3

0.4

7.昇進する可能性があるとき

54.2

33.1

11.2

1.0

0.5

8.自分の能力が生かせるとき

73.4

23.4

2.3

0.5

0.4

9.よく働かないと首切りされる恐れがあるとき

22.2

30.4

33.6

13.5

0.4


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